昨日の記事で配当権利日と貸株解除することの重要さについて書きました。
それに関連して、貸株サービスを利用する上で盲点とも言うべきことを思い出したので書こうと思います。
そもそも貸株サービスとはどんな制度か
最初に貸株サービス制度について、簡単に説明しておきます。
貸株サービス制度とは個人投資家が、保有している株を証券会社に貸し出して、証券会社から貸株料と呼ばれる金利を受け取る制度です。
証券会社は借りた株を使って、信用取引の売り注文に応じます。証券会社は信用売り建てをした人から貸株料を受取り、そのうちの一部で貸株サービスで株を貸してくれた投資家に金利を払う仕組みです。
たいていの証券会社で導入されており、金利は各証券会社及び貸し出す銘柄によっても違い、およそ0.1%~0.5%程度となっています。銀行預金に比べれば大変割の良い金利が受け取れることになります。また、貸株サービス中の株は自由に売却することができるので、不便なことは何もありません。
こう書くと良いことずくめのように聞こえますが、もちろんデメリットもあります。
一つには、貸株サービスを利用中の株は証券保管振替機構(ほふり)管理になっていないことが挙げられます。ほふり管理になっていない株は、直接証券会社に貸す形になっているため、証券会社が潰れてしまった場合、最悪貸した株は戻ってこないことになります。
二つ目には昨日も話題にしましたが、貸株をしたまま配当権利日を迎えてしまうと、配当金を受け取れないということがあります。
配当金の代わりに、証券会社から配当金に見合う「配当金相当額」を受け取ることになりますので、受け取る金額に大差は無いのですが所得の種類が変わってきます。
配当の場合は配当所得となるので配当控除の対象になりますが、配当金相当額の場合は雑所得となり、配当控除が受けられません。
そのために配当権利を取りたいと思えば、配当権利日の4営業日前までに貸株解除手続きをしなければいけません。
今月3月は多くの企業が決算を迎える月ですので、3月28日までに忘れずに貸株サービス解除をしましょう、というのが昨日の記事で訴えたことでした。
決算日を月末に設定していない会社
私も保有しているのですが、アルインコという会社があります。
この会社は日本の多くの企業と同じく3月を決算月と定めてはいるものの、3月の末日を決算日としてはいません。
月末では無く中途半端にも3月20日を決算日と定めているのです。
普通決算というのは多くの企業が3月で、それについてで多いのは12月といった具合に月の違いはあるにしても、日にちにおいて月末以外の日にちを設定することがであるというのはアルインコを保有してから初めて知りました。
それから調べてみたのですが、商法上では決算日を月末以外に設定することにはなんら問題ないようです。
上場企業サーチ様の「月末日以外を決算日としている上場企業の一覧」によれば、2016年2月28日時点で66社の上場企業が月末以外の日にちを決算日としてしています。
現在日本の全株式市場に上場されている企業数は3,539社です。
上場会社数・上場株式数(日本取引所グループ、2017年3月3日現在)
66÷3,539=1.86%ですから全上場企業の約50社に1社は月末以外を決算日にしていることになります。思ったよりも多い印象ですね、月のマグマが無知だっただけということなのですが・・。
商法上も問題が無く、それぞれの企業においては様々な事情で採用しているのですから文句を言えるすじ合いは無いのですが、貸株サービスを行っている投資家にとっては思わぬ盲点です。
これらの銘柄を貸株サービスに出す際には注意をしましょう。